明けましておめでとうございます。
めでたく新年を迎えたわけですが、書きかけの総括記事が年内に完成しなかったので年明けの更新となりました。
⇛2011年面白かった漫画ベスト10
⇛2012年面白かった漫画ベスト10今年は講読雑誌の回顧+取って付けたようにベスト5という形式で。
・ジャンプ
『暗殺教室』の真正面からの面白さと隙の無さは本当にすごい。ああ面白い漫画読んでるなという実感が常に伴います。長期連載組で一番好きな『BLEACH』は、瞬閧を極めた砕蜂の登場で大いに高まった僕のテンションを超スピードとかそんなチャチなもんじゃねぇ早さで打ち砕いて恐ろしい物の片鱗を味あわせてくれました久保先生には来年も期待しております(何を シュテルンリッターとの戦いでは隊長をサポートする副隊長という図が多く見受けられ、それぞれの信頼関係が何気ないやりとりの中に垣間見えたのが良かったと思います。最近出た表紙絵集めた本欲しいなぁ。『めだかボックス』が終わりました。終盤は外連味溢れる台詞回しを楽しみに読んでいた節があります。エピローグに単行本一巻分を費やしてくれたのは嬉しかった。思い返すと改めて「台詞が強すぎて絵が仕事をさせてもらえなかった作品」という印象です。次回作があるならば餅は餅屋ということで暁月先生にネームと台詞の取捨選択を任せていただけたらなと。打ち切り作品の中では『新米婦警キルコさん』が非常に僕の好きな感じの作品でした。はぁキルコさんかわいい。これはサンデーに欲しかったなぁ。ゲス春も横島のDNAを受け継ぐ主人公(?)として輝けたに違いない。まさかの鳥山先生カムバックな『銀河パトロールジャコ』は熱量凄まじいジャンプにおいてほどよい脱力感を放っており、素晴らしい清涼剤となりました。DBとリンクするラストも含め、ファンサービスに徹した作品で楽しかったです。単行本がさりげなく延期してるっぽいのが少し気になりますが。台原からまさかの大出世を遂げた『磯部磯兵衛』は出落ち感満載な作風でしたが、今のところ安定して面白いです。こんなに共感できてしまう主人公で良いのか・・・(駄目(僕が 『ニセコイ』は久々のるりちゃん回到来で、このエピソードの収録される巻だけでも買わないとなと思いました(7巻で止まってる アニメでは持ち味を損なわない範囲で、やや粗が目立つ筋書きを再構成する方向でお願いしたいです。
・マガジン
やはりなんといっても『聲の形』と赤松&久米田両先生の復帰が嬉しい一年でした。『UQホルダー』はネギまとのリンクもありつつ、お金で買える魔法アプリというシステマチックな設定が赤松先生らしくて良いですね。個人的には九郎丸の女バレ展開を心待ちにしております。あと夏凛先輩が好き。今後どういう方向に向かうのか未だ未知数なところはありますが、らぶひなのラブコメ要素を受け継ぎつつ始まったネギまが次第にバトル化し、今回の『UQ』に繋がっていると思うとある意味納得できる流れと言えるのではないでしょうか。人気の程は分かりませんが、これまでのようなヒット作となれば、ラブコメからバトル漫画にスライドした作家として認知されるのかもしれません。そんな『UQ』を早速ネタにしてしまう『せっかち伯爵と時間どろぼう』は、久米田先生の新境地とも集大成とも言えるファンタジックコメディ。太陽の戦士ポカポカの箸休め回がこんなノリじゃなかったかな。社会風刺やあるあるネタが身を潜めた分、卓や伯爵が繰り出す屁理屈と言葉遊びで展開が二転三転していく様がバカバカしくも楽しいです。時折見せる三白眼とタイムふろしきぱんつがチャーミングな夕仏真心ちゃんは歴代の久米田ヒロインズに引けをとらない世話焼きっぷりを見せており、風格を感じさせます。久米田作品をごった煮した闇鍋のような作品。毎週の楽しみであります。その他『七つの大罪』や『DAYS』など新連載も安定した面白さで。良い雑誌です。
・サンデー
『マギ』『銀の匙』というサンデーの二大看板がアニメ化を経て更にその人気を高めました。しばしば売り上げ関連で話題となるサンデーにおいてはとても明るいニュースだったのではないでしょうか。特に『マギ』はマグノシュタット編の完結からアwリwバwバwな閑話休題エピソードを経て再びバルバットへ・・・という新展開で今年も目が離せません。新連載組では『NOBELU』が存在感を放っていました。「芸は身を助ける」を地で行く演劇バトルはダークな絵柄と相まって鬼気迫るものがあります。トーリまで攻略し仁兵衛ばりのハーレム形成を成しつつあるノベル君には期待せざるを得ない(? 最終章が未だ続く『月光条例』は、おとぎ話のキャラクターたちが強制月打で反撃開始という熱い展開でした。月光のHPが無尽蔵過ぎて最終決戦ながらまだ上手く感情移入できてない自分ですが、なんだかんだで好きな作品です。一年半ぶりに帰ってきました『アナグルモール』はただ事ではない面白さ。千和奪還から脱出までの流れはとてもテンポが良く、読んでいて気持ちが良い。ストーカー氏のエピソードも素敵でした。福地先生は話作りに時間を掛ければ掛けるほど良いものを描きあげる作家だと思います。次回最終回ということで非常に残念ではありますが、再開が決まった段階で予想できたことでもありました。あとはただただ、これまでの作品で見せ付けてくれたような綺麗な最終回を見届けるばかりです。最近は企画物の連載をぶち込むこともなく、新人作家の作品を多く掲載していて非常に好感が持てます。カメラの読み切りとドッキリの読み切り作品面白かったなぁ。表紙のグラビア率も減っており、漫画雑誌としての純粋さが垣間見えた一年でした。この調子で頑張っていただきたく思います。そして何より藤木俊先生の新作をお待ちしております・・・!
・別マガ
『進撃の巨人』がヒットしたり『惡の華』が鮮烈な印象を残したり『終物語』が掲載されたり。今年から講読を再開しました。ちょっと見ない間にダークな作品が増え・・・いや元からそうだったか。やたら魔女が多いなという印象も強いです。個別の作品について語ることは特にないかな・・・『進撃!巨人中学校』がお手本のようなスピンオフで地味に好きです。『ベイビー・ワールドエンド』『じょしらく』おつかれさまでした。
・アフタヌーン
ユイコさんが好きです、でもユイコ姉の方がもっと好きです。高校時代のユイコ姉の良い話(?)がつぼでした。つり目姉妹万歳。茶山さんも好き。ユイコさんとトモヤの付き合うまでのエピソードは今年も拝めず、なぜトモヤはユイコさんに対して敬語なのか疑問は未だ残るそんな『今日のユイコさん』。『げんしけん』はいつサークルがクラッシャーしてもおかしくない人間関係にはらはら・・・いつしか恋愛が中心になりつつもあり。個人的にはすっかり丸くなった荻上さんにもっと動いて欲しいかなーと思ったりもします。『蟲師』特別編ありがとうございます。すっかりご無沙汰だった漆原先生、どうやら結婚&出産という一大事を迎えられていたようで。5年前と変わらぬ静謐な世界観と淡い筆致で描かれるギンコ達が懐かしい。今年は電子版に移行できたらいいなと思います。
・まんがタイムスペシャル
アニメ化で再燃した『恋愛ラボ』熱に釣られ、気がつけば購読するようになっていました。『ゲキカラ文化交流』『趣味じゃない園芸』とか良いですね。無印のまんがタイムも平行して買ったり買わなかったりしてたせいか未だに「あれ、どっちに載ってたっけ?」となる作品も正直あったり・・・。四コマオブザイヤーに参加したりもしましたが、まだまだ未開の地なので、少しづつ開拓していけたらいいなと思います。
とまぁ軽く振り返ってみたところで唐突にベスト5。
5位:
両思いになったら消えてしまう長谷部りの。強制マルチエンディングというすごい設定です。甲野は毎度違う長谷部を好きになり、その度長谷部の新たな一面を見ることになり、また好きになり。消えてしまうことを恐れつつも長谷部に向かって全力疾走する甲野にぐいぐい引っ張られてしまい、気が付くとラストまで読まされているという感じです。そこまで同じ人を好きでいられるのか?年齢も趣味嗜好も何もかもが違う人物を「長谷部だから」という理由だけで思い続けることができるものなのか?という疑問は甲野の一途さ、ひたむきさによる説得力の前には無意味なんですね。ああもうこいつは本当に長谷部が大好きなんだなという説得力。長谷部と仲良くなれて喜ぶ姿も、忘れられて心がぐちゃぐちゃになるまで悲しむ姿も痛いほど伝わってくる。勢いに任せて一気に読むと気持ち良い作品です。明日も好きって伝えるから!
4位:
市川春子先生の繊細な筆で描かれる、戦う宝石たちの物語。高い硬度を持ちつつもか細い肢体に弱いメンタルの気まぐれ屋フォスフォフィライト。この作品はどこが面白いのと言われたらなかなか答え難いのですけど、硬度3半!とか言ってもぼきぼき体折られてしまう脆さとか、華奢な体に宿る芯の強さというか意志の強さというか、内も外も固くも脆くもあるアンバランスな彼女たちが月人に立ち向かっていく様に惹かれるのです・・・?うん自分でもよくわかってない。博物誌編纂を命じられたりしてああなんかアフタっぽいなとか思ってましたが、やり方が分からず周囲に聞いて回ったり戦闘の方がいいとか言い出したりめんどくせーこんなの意味ねーと投げやりになったりして、ああこれはフォスの就活を描いた作品なのねーとかそんな理解でも良いような気もします。宝石たちの見分けが付かずしばらくは人物紹介を行ったり来たりしながら読んでいましたが、中性的なデザインがこの不思議な世界観の一端を担っているのだとかそんなふうに思えばいいのです?(最後まで疑問形
3位:
聾唖という重いテーマを少年誌でやってのける大胆さが読み切りで注目された理由だと思いますが、それ以上にいじめで人生のどん底に落とされた主人公が前を向いて生きていくという暗いスタート地点を設定したことが個人的には衝撃でした。さだまさしの「償い」かよ。とはいえ手話を介しての将也と硝子の交流は順調に進んでおり、周辺の人物も少しづつ巻き込みながら距離を近づけていく不器用な彼と彼女の様子にはほっこりします。吹き出しに収まる「台詞」ではなく、手話だったり筆談だったりメールだったりの「文字」で交わされるやり取りは、その一つひとつを強く意識してしまいますね。コミュニケーションの積み重ねと二人の心情を丁寧に描いた作品。
2位:
もうこれ一位で良いんですけど本家で一位とっちゃったから・・・(ひねくれ/おめでとうございます
ゴッホの生涯ってほとんど記録がなくて、手がかりが弟の残した手記ぐらいしかないんですよね(ですよね? それを逆手に取ったのがこの作品、と簡単に言ってしまっていいのかどうか分かりませんが、ほんともうやられましたの一言です。アカデミーの連中に銃口を向けられた中での兄弟のやり取りに二人の互いに対する愛憎が窺え、この一連のシーンがこの作品の全てと言えるかもしれません。穂積先生には今後も短篇の名手として活躍していただきたく思います。
一位:
まぁなんというかこの手のランキングに挙げられるタイプの作品ではないのですけど、純粋にこの一年に出会った中で一番好きな作品、というとこれなんですよね多分。落語を題材とした文化部漫画。日菜子も真帆も梶浦もガチガチの落語好きで、落語とはなんぞやというスタート地点から辿っていくタイプの作品ではないんですよね。なもんで会話の中で唐突に演目や落語家の名前がほいほい出てくる。もちろん知るべくもないのですが、台詞の中できちんと説明が不自然でない形で(ここ重要)挿入され、また物語の中心となる演目は作中で分かりやすく(ここ重要)紹介されるので問題なく読み進めて行けます。面白いのは同じ演目に対しても三人のアプローチの違いが見られ、例えば自分の目標とする師匠の型を真似ようとする梶浦と、人を喜ばせてなんぼであると主張しエンタメ性の重要性を説く真帆は分かりやすく対照的なんですよね。それぞれの美学に基づいた落語を実践せんとする彼女らは時に衝突もしますし、先月号のエアーホッケー問答の回なんかはその極みと言えますが、互いが互いの考え方に触れてより良い落語へと高めていく様は見ていてとても熱いです。まぁ団体戦でもないので折り合いを付ける必要はないんですけど、互いの主張を正面からぶつけ合う姿は実に青春。そしてそんなやり取りの中で浮かび上がる落語の魅力に気付けたりもして、読んでいて本当に楽しいんですよね。落語家による演じ方の違いなんて興味のない側からすればまず意識しませんし。落語への興味の向けさせ方が上手い点は本作の大きな魅力だと思います。「金明竹」とか文字で読んでるだけでも面白いのですけど、実際聴いてみると本当に立て板に水という具合で気持ち良いです(YouTubeで聴いた それに加えて話のテンポの良さもあり、硬軟織り交ぜた台詞回しで激しい応酬を見せる場面なんかはとてもスピード感があります。その中ではっとするような台詞も飛び出したりするので油断なりません。秋山はる先生のまったりした絵柄とメリハリの効いた会話、読みやすい作風がすごく口に合うんですよね。いやぁ素晴らしい。2巻では読者目線の新入部員・梢も登場し、ますます面白くなる落研漫画。高校生×落語=120%の煽りに偽りなし!
というわけで昨年1巻が発売された作品に限りましたが、なんか圧倒的講談社率。
今年も胸を張って好きといえる作品に出会えたら、それはとってもうれしいなって。