金魚警報 - 去り往く少女に惜しみない拍手を―西尾維新「鬼物語」感想
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去り往く少女に惜しみない拍手を―西尾維新「鬼物語」感想

早いもので物語シリーズも早11冊目。あと5冊出すよ!とか発表された昨年末にはまだまだ想像できなかったシリーズの“終わり”が確実に近づいているのを実感します。特に終盤に向けてのお膳立てを一冊まるごと費やして演出した前巻「囮物語」が衝撃的な引きで読者を茫然自失の彼方へ追いやったのは記憶に新しいところ。そんな中待ちに待った続刊が遂に発売です。
今回もすげー面白かったのですよ!
鬼物語 (講談社BOX)鬼物語 (講談社BOX)
(2011/09/29)
西尾 維新

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囮の続きじゃないのかよ!撫子どうなったの!と本を机に叩きつけた諸兄がどれだけいるか知りませんが(多分いない)
前回のあとがきで示唆されてたとおり「猫物語(白)」の本筋と同時進行していた裏の出来事が語られます。
暦と忍のペアリングが切れること、神原が関わってること、羽川さんのもとに届いた意味深なメール、そして学習塾炎上事件と、すでにいくつかの情報が読者に提示された状態でのスタートということである程度の想像はしてたのですけど、一番キーワードとなりそうな学習塾炎上事件が本編で一切語られなかったのは予想外でした。
特に重要なエピソードじゃないからあえて語らなかったのか、はたまた「実は俺何も考えてないんだよ」という狐面被った西尾先生の気まぐれなのか定かではありませんが、あとがきで触れられたのがせめてもの救いでと言えましょう。
副題が「しのぶタイム」なので、例によって忍一人称出くるのかと思いきやそんなことはなかったぜ。


前半の暦と真宵ちゃんのコミカルなやり取りが懐かしいです。
思えば新章突入以降雑談よりシリアスな語りが紙幅を割くことが多かったですもんねぇ。
久しぶりの二人の掛け合いとあってか暦の犯罪レベルにまで上り詰めた変態度合いと八九寺Pの過剰なメタ発言はとどまるところを知らず。「化物語」の頃の漫才のような計算された掛け合いと比べると大変フリーダムでやりたい放題、会話劇もここに極まれりといった感じでなんとも楽しげです。
さりげに傾物語の宣伝をしてた真宵ですが、今思うとこれから語られる出来事との相関性を示唆していたわけですな。


今巻は忍と真宵の物語に決着をつけた形となりました。

神を騙った忍の過去と「傷物語」で触れられた一人目の眷属の存在が明らかに。
作中でも突っ込まれてたけど忍の回想があまりにも長くて、本当にこのまま一冊終わってしまうんじゃないかとひやひやでしたw
一人目の眷属とはてっきり恋愛関係にあったと想像してたのですけどそんなロマンチシズムかけらもありませんでしたね・・・名前すら知らなかったとは。そういえば一人目の眷属さんのビジュアルは「月光条例」のセンセイを想像しました。(余談

そして八九寺真宵。読んで吃驚でした、今巻は実質「傾物語」の続編になってるんですよね。続編というか対になってるというか。
まよいキョンシーと言いつつ蓋を開けてみれば暦と忍のバック・トゥ・ザ・フューチャーな冒険譚だった傾物語。
鬼物語はその意趣返しなんでしょうか、今巻の主役は間違いなく八九寺真宵ちゃんでしたね。

化~傾に至るまで棚上げにされてきた問題に決着が着きました。
以前にも書いたけどセカンドシリーズはキャラのご都合主義を断罪する展開が主軸に据えられてる気がします。
傾だけが例外になってしまうのですが、鬼と合わせて真宵の一篇だったと考えると納得できました。

シリーズ完結に向けて徐々に伏線が収束していく一方、残された謎が動き始めるという次巻への期待感は高まるばかりです。
最大の謎といえばやはり忍野扇。
台詞から察するに、今回の出来事や囮物語での撫子の件は忍野扇が裏で糸を引いてる感じがばりばりで怪しすぎます。
作中人物でありながら読者の視点から物語を傍観しているような雰囲気もありますし、未来の出来事も把握してたりして謎過ぎますね。性別も男だったり女だったりでもうわけわからん\(^o^)/
ラスボスとして君臨する展開しか予想できませんが、まぁ今は戯言シリーズの西東天やめだかボックスの安心院なじみみたいな存在だと思っておけばいいでしょう。色々うろ覚えな部分もあるので、既刊を読み返して考察していこうと思います。豊かに想像力を働かせながら最終巻に備える、そういう楽しみ方もできる作品だと思います。


うん、いやこんなに冷静に分析してる場合じゃないですよね・・・真宵ちゃん(´;ω;`)ぶわっ

気付くべきだったのかもしれません。未来の時系列にあたる「花物語」「囮物語」に一瞬たりとも登場してなかったという事実に。
他のヒロインズが変わっていく中、ただ一人永久不変の存在として物語に君臨し続けるんだろうという安心感がありました。
登場時から今まで外見・内面ともに変わらない存在でしたしねぇ。

消えるのではなく帰るんですよと、気丈に振る舞う真宵は最後まで笑ってました。ちくしょう泣かせやがる。
つーか振り向きざまにちゅってなんですかそれ九十年代のトレンディドラマですかこういうベタなの大好きなんですよまったくもう。
キスが最後の「噛みました」だなんて洒落てますね。

真宵は最初から死んでいるキャラクターであって、だから真宵の「帰るだけ」というのはまさにそのとおりなんですけど、読者からすれば暦とボケツッコミを繰り広げる間柄の明るい“生き生きとした”存在なんですよね。浮遊霊だろうと生きている人間と何ら変わらずそこにいる存在。だから物語から完全に退場してしまう今回の「成仏」こそが読者が初めて対面する真宵の「死」になってしまうという。だから悲しいんです、多分。

「話しかけないでください。あなたのことが嫌いです」

そんな第一声から始まった二人の関係は

「大好きでしたよ、阿良々木さん」

で幕を下ろしました。これまでの二人の他愛もない掛け合いがとても愛おしく思い出されます。
一見無意味なやり取りの積み重ねが二人の絆。
涙を浮かべ顔赤らめて、それでも彼女は笑顔で逝きました。

「あなたの心に住まいを構える永遠の小学5年生」八九寺真宵に惜しみない拍手を!

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